9/5

ミステリとは物語の謎を解いていくもの、伏線のかたまりである。

湊かなえ作品の母性が読み終わりました。この話は母性とは何かと始まり、母と娘の物語を通じて母性を読者がはっきりと理解する作品でした。母性を持つには自立が大事なんだと思いました。一人の母親になったとしても心が「私はお母さんの娘なんだ」という気持ちではしっかりとした母性をもって自分の子供に愛情が注げなくなってしまうのだと思いました。逆に娘という立場から自立すれば子供の責任者として立ち振るうことやしっかりとした愛情を注げるのだと思います。
この話ではちゃんと読めば話のつじつまが合わない部分があったのですが、私はあとがき、解説で「あ、そういえば」という感じで気づきました。こじれた関係や被害者、加害者の視点での語りは相違が出てくるのだなと感心しました。

湊かなえ作品はミステリと呼ばれていますが、私のイメージするミステリは探偵や刑事が事件を解いていくモノです。そのため、湊かなえ作品を読んで、内容は面白く感じるのですが、「これミステリかな?」と思っていました。そこで冒頭にあったようにミステリの定義について調べてみて、「ミステリとは物語の謎を解いていくもの、伏線のかたまりである」という解釈に至りました。実際に湊かなえ作品では一人一人の視点で物語が進んでいき、最後にあらゆる点が線になっていくのです。伏線と言うほどではないが最後にすっきりする、内容を理解するための要素が散らばっていたのです。
湊かなえ作品は嫌ミスとも呼ばれ、私も毎回登場人物の背景の悲しさにイライラしていました。途中で本を投げて、破って読むのをやめたいくらいです。しかし、最後にはいつも話がつながってすっきりするし、嫌な登場人物も必要な存在だったなと思うことができます。

8冊くらい湊かなえ作品を読みましたが人に薦めるには、相手の心を痛めてしまうと思い、薦められません。先をもっと読みたいではなく、「早くハッピーエンドになってくれ」と思っているのですから。私が人に薦めるのは先をもっと読みたい、読んでて面白いと思う探偵ものです。

湊かなえ作品を読むのは休憩します。