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湊かなえ 未来 読了

湊かなえさんの作品だなと改めて思いました。湊かなえ作品はメジャーな告白や少女ではなく、境遇や望郷などのマイナーなとこから入りました。境遇や望郷は告白や少女と比べ、残酷さが軽かったのだけど最近告白などを読み、途中で読みたくなくなるくらい残酷な内容でした。未来も告白に似た要素があるなと思いました。話としては続き、というわけではないのだけど何かつながっているような気がしました。残酷ということですが湊かなえ作品は現実を参考にしたフィクションのようで、かわいそう、同情、イライラする、、こんな感情が出てくる作品が多いように感じます。作者縛りで読書をすることはあまりないので湊さんの作品はこんな感じなんだと認識しています。こんな感情が出てくるのは本書のあとがきであったようにいじめや貧困問題、社会問題に対して立ち向かう作品を手掛けているからだと考えます。登場人物には悲しい背景があって、イライラさせてくるキャラクターにも背景があります。その背景を知って嫌悪感が和らぐこともあるが、和らがない、ざまあみろのような感情になることもあります。いじめのシーンに対して私ならこう言ってやるのに、と思って読むのが正解なのでしょうか、それとも何この子と嫌悪感をもって読むのが良いのでしょうか。感情移入や未来を読んでどんな考え方になってほしいのでしょうか。あとがきには日常の中に、例えばあのバスの中には章子や亜里沙のような境遇の人がいると考えるだけでいいとありますね。これで、この本に出合ってこの世界や私自身はどのように変わるのだろうか。。
もう一つ湊作品を読んでいて面白いことは登場人物一人一人に焦点を当てて書いてきたものが最後に伏線となって点と点がつながり、線になる感覚が忘れられません。実際に最後50ページくらいは一気に読んで夜中の1時半になってしまいました。本の構造自体も楽しんでいいんですよね。湊作品はすごく嫌な感情が出てくるのがつらいですが、最後の点と点をつなげ、線になる感覚の欲しさに読んでいます。

 

変な感想で申し訳ない。